in the life


雨宿り



後悔なんてモノは、いつだって後からするから後悔というのだ。
後から悔やんだって遅いから、後悔というのだと、身をもって知る今日この頃。



タイミングが悪かった。
まず、第一にそれだと思う。
今日に限ってなぜ買い物に行こうと思ったのか。
別にムリに今日でなくても良かったのに。
ざあざあと容赦なく降りしきる雨を眺めながらイルカはまた一つ大きなため息をついた。
買い物に行ったところまでは良かったのかもしれない。
問題は雨が降り出したところからだったのだ、多分。
まだ空が何となく明るくてすぐに止むだろう、なんて考えたのが甘かった。
それともそこまでは良かったのか?
その後、自宅より近い、というただ一点の理由だけでここに雨宿りに来たのが間違いだったのだ。
そう、ここで雨が上がるのを待たせてもらおうだなんて思ったのが間違いだった。
雨足は弱くなるどころかさっきから嫌がらせのように強くなっていてこんな事なら始めから濡れるのを覚悟で家に帰っていれば良かったと、イルカは思う。
濡れたままじゃ風邪を引くと言われて風呂まで借りてしまって。
むしろ嫌がるのを無理矢理貸された、と言うか。
ともかく体はまだほかほかだ。
こんな事ではカカシに美味しく食べて下さいと言わんばかりである。
当の本人は何故だか知らないが自分が風呂から上がった後、うきうきと交代で風呂に入ってしまっている。
明日も朝早くから学校なのに、洋服がないから何だか知らないがカカシの寝間着なんか借りて着ちゃって、ほかほかでいい匂いがしてて、ダメだ。
帰ろうにも自分の着ていた洋服は、カカシ宅の最新式洗濯機兼乾燥機の中に拉致監禁されているし。
あぁ。喰われちゃうね。
どうかあの人が風呂から上がる前に洋服が乾いて雨が上がりますように。
しかしそれは酷く確率の悪い賭だ。もう、どうしよう。
それとも酒でも飲んで寝てしまうか。
そっちの方が確実かもしれない。
程良く疲れもたまってるし、風呂上がりだし。
アルコールでも入ればちょっとやそっとのことでは起きない自信が情けないことにあったりするし、一層酷くなる様子の窓の外を見てもう一度イルカは大きなため息をついたのだった。


fin


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