張り詰めたカカシの性器に震える手を添えてイルカはこくりと唾を飲み込んだ。
「そのまま腰を下ろして、ネ」
さっきから何回も挿れてるし、ここぐちゃぐちゃだから大丈夫だよね。イルカと向かい合うように座っているカカシはそう言ってイルカの頬を柔らかく撫でる。
身体が震えるのは中途半端に快楽が放置されているから。痛いくらいに勃ちあがった自分の性器からは先走りの液がとろとろとこぼれ落ちて、カカシを受け入れるそこを勝手に濡らしていた。
何度も中で吐き出されたカカシの精液と混ざって卑猥な液体が内股を伝う。その感触にイルカは小さく身を震わせて目を閉じる。
もう一度唾液を飲み込んでイルカはゆるりと腰を落とした。割り広げられる感覚。そこからまたとろりとこぼれ落ちたもの。
ぞわりと背中を走ったのが快楽だと知ってイルカは眦に涙を浮かべる。そうして常とは違う体勢にイルカはほんの先端だけを飲み込んだままぴたりと身体を止めてしまった。
「だ、駄目、無理です」
すぐにも崩れ落ちそうな身体をカカシの肩に置いた手でようやく支えながらイルカは小さく首を振る。
いつもよりずっとカカシが大きく感じるのはどうしてだろう。さっきまでそれを易々と呑み込んでいたはずなのに。とても入らないとイルカは首を振り続けた。
「無理じゃないよ、ホラ」
余裕の笑みを浮かべたままカカシはぐいと腰を掴んでイルカを一気に貫いた。
「ああぁぁぁっ!!」
「……ッ」
溶けた後口はあっさりとカカシを受け入れた。ずぶずぶと突き入れられていくカカシにイルカはほろりと涙を零す。自らの重みでいつもよりずっと深い所までカカシを受け入れされられて、イルカは嬌声を放つ。堪えられずカカシの背中に爪を立てながら。
「……あ、あぁっ!…やだ…っ!」
カカシの上にぺったりと腰を下ろしてイルカはぎりぎりと爪を立てる。濡れた叢が尻に当たる感触に身を捩ったけれどそれはほとんど意味をなさなかった。
「……なにがヤなの?」
容赦のないイルカの締め付けにカカシも荒く息を吐いてその耳元に囁いた。欲に濡れ掠れたカカシの甘い声。
「やっ……おく……んあぁっ!」
しがみつき肩に額を擦りつけるイルカをゆさりと揺さぶれば面白いように身体が跳ねた。
「奥に当たって気持ちいいの?」
からかうようにカカシが言えば、イルカはふるふると必死で首を振る。可愛らしいその仕草にカカシはもう一度震える身体に腰を打ち付けた。
「あぁ……ッ!」
もはやその口から零れる言葉はすでに意味をなさない。イルカの痴態がもう少しだけ楽しみたくて、カカシはその身をベッドの上に横たえた。
イルカの腰を両手で掴んで支え、膝を立たせれば開ききった襞は貪欲にカカシを飲み込もうとざわめく。
「あぁっ……んっ!」
「あぁ、すごくいい眺め…」
うっとりと呟くカカシにイルカは腫れぼったい目蓋をこじ開ける。息を吐き出し涙でかすむ視界で理解した事柄。
「……ッやだぁ……!」
カカシの前に何もかもをさらけ出した自分。股を広げ浅ましく勃ち上がり震える性器もカカシを呑み込んだ秘部も何もかもを晒している。
死にたいくらいに恥ずかしいのにイルカの襞は呑み込んだカカシを締め付けるように収縮した。
「やだって言うわりにイルカさんぎゅうぎゅう締め付けてるね。ホントはこういうの好きでしょう」
笑いを含んだ声でカカシは囁いた。張り詰めた性器を軽く弾かれてイルカはびくびくと身体を震わせる。
「ひぅっ…!」
ざわめく内壁がカカシを締め付ければ浮き出た血管までが感じ取れた。じわりと染み出す快楽。いつまで経っても動く気配を見せないカカシにイルカは焦れたように濡れた瞳を向けた。
潤んだ瞳で縋るようにカカシを見ても、にやにやと笑うだけで一向に動こうとしない。
どうして、と思った。達きたくても達けない辛さはイルカを簡単に籠絡する。快楽にけぶった思考はひどく分かり易くて身体は要求を繰り返す。
達きたい。
カカシに思うままに揺さぶられ奥まで突き上げられ身体の奥を熱い飛沫で濡らして欲しい。カカシで一杯にして欲しいのに。ぺったりとカカシに座り込んだままイルカの思考はぐずぐずと溶けていく。
動いて。散々に突き入れられた腰は怠くてもう自分では動かせないから。動いて。
「……う、うごいてぇ……!」
とろけた思考は自分が何を口走ったかなど恐らくは理解していないだろう。欲望に潤んだ瞳でねだるイルカにカカシはうっそりと笑みを浮かべた。
「お望み通りに」
言葉とは裏腹に余裕無くイルカの腰を掴むと、カカシはがんがんと自らの猛ったモノを打ち付けた。
「…っあ!ぁぁああ!!……っうっんん!!」
もはや押さえることなど出来ない嬌声を思う存分上げながらイルカはあっけなくカカシの腹の上に逐情した。そうして一瞬遅れてカカシも息を詰める。
最奥が濡れた感触に満足げに息を吐き出すとカカシの胸の上に倒れ込んで、イルカはそのままうっとりと目を閉じたのだった。
それから。無理だと懇願するイルカを意志などお構いなしに無理矢理ひっくり返されてもう一度犯された。
獣のように後ろから貫かれ、息も絶え絶えになりながらようやく逐情したイルカは、カカシの熱が内部に放たれたのを感じてもう一度小さく身を震わせる。ずっしりと背中にへばりつく重み。
ベッドに突っ伏せば後ろから引き寄せられ腕の中にと抱き込まれる。
横抱きに後ろから抱えられるような恰好が恥ずかしくて、イルカはわずかに身を捩ってカカシを見た。離して下さいとかあんまり引っ付かないで下さいとか今日はもう絶対無理ですとか言おうと思って。
だってカカシはいつまで経ってもイルカの内部から自身を引き抜こうとはしないし、今だってがっちりと抱きついたままだ。
素肌の温もりをこれほどまでに近くで感じられるのは嬉しいけれど、恥ずかしいし本当に体力の限界を超えていると思ったから。
けれど。振り返ったイルカを迎えたのはぐっすりと眠りこけるカカシの姿だった。無意識にイルカを抱き込み、自分の性器を抜き取ることもしないままカカシは眠りこけている。そう言えば疲れた顔をしていたし、実際ほとんど眠っていないと本人も言っていたではないか。
そんなに疲れているのに自分をこれほど求めてくれたのかと思うと、どうにも顔が弛んでしまう。反面疲れていてこれならば普段は一体どうなるのだろうかとそら恐ろしくもなった。
ともあれ珍しい光景にイルカはふふ、と笑い声を漏らす。いつもいつも気を失うのは自分で、こうしてカカシが余裕無く求めて先に意識を失っているなんて滅多にあるもんじゃない。
嬉しくて少しくすぐったいような気分。こうして無防備に眠れるくらいは自分に心を許しているのだと思うと自然に顔が緩んだ。
そうして身体の中に未だ留まったままのカカシをどうしようかと思う。眠りにくいことこの上ないがこうもがっちりと抱き込まれていてはカカシが目を覚ますまではこのままどうすることも出来ない。
ひとまずカカシが風邪など引かないようシーツを引っ張り上げて、イルカは小さく息を吐き出した。
このまま自分も眠ってしまおう。起きたとき一体どうなることかと思いはするけれど。
もぞもぞと体を動かせば抱き込む腕の力が無意識に強くなった。引っ付いた身体から聞こえる規則正しい鼓動の音と緩やかな呼吸を聞きながら、イルカもうっとりと目を閉じる。
ほんの少しだけ開いた窓からは冷えた風が吹き込んで、暮れかけた日が部屋の中を赤く染めていた。
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